コインを買っているのか、それとも数字を買っているのか?

 新年あけましておめでとうございます。寒い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?状態の良い古銭の品薄感、スラブ鑑定料の値上げ、と何かと厳しい状況ですが、出来るだけ状態の良い古銭を出来るだけ安い価格でお届けできるように頑張っていきたいと思っております。2025年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 このサイトを御覧の皆様もおわかりのように、私も人一倍状態の良い美しい古銭が大好きです。昔から所謂近代銭のロール出し"完未"は大好きで、古金銀を扱っている現在も状態の良い未使用品が大好きです。古金銀の未使用品の評価は近代銭の未使用品や完全未使用品と比べるとまだまだ評価が低いと思っています。収集家だった時には、少しでも状態の良い古銭を求めて、それなりの金額を出してきました。美しい古銭が好きだったからです。

 ただ最近のオークションを見ていると、落札者はきちんとコインを見ているのか?スラブの数字だけを見ているのではないか?と思うことが多くなりました。もちろん、誰が・何に・幾ら出そうがその人の自由です。価値観は人それぞれですから何が正しいということはありません。様々な要因(投資や円安など)のおかげで、古銭界が盛況になるのは決して悪いことではありません。ただ、長い目で見れば、あまりにも歪んだ考え方や発想でコインを買うことは決して古銭界のためにはならないような気がします。

 年末に開催されたあるオークション。MS66の明治36年の円銀が約170万円で落札。驚きました。私が以前所有していたMS65の明治36年の円銀は20万円ほどでの購入でした。素晴らしい完未状態で気に入っていました。いくら美しいと言っても綺麗なものが多い並年の明治36年です。躊躇しましたが、数字だけではなく(もちろんMS65という数字も考慮には入っていますが)、その状態に惚れ込んで購入したわけです。確かに円銀のMS66は希少ですが、数字の1くらいはその時の鑑定によってころころ変わることも常識です。この2枚のコインに150万円もの差があるとは、とうてい私には思えません。そりゃ貧乏人のひがみだよ、と言われればその通りかもしれません。その方の100万円は私の100円くらいの感覚かもしれないからです。

 何を幾らで買われても他人がとやかく言うことではないのですが、そのコインに惚れ込んでお金をつぎ込んで欲しいものです。一定のお金を投資する以上、それを担保する保証を求めるのは人の常です。スラブの数字が高かければ高いほど、その担保能力が高いのも事実です。ですが、数字だけではなく、是非スラブの中のコインを自分の目でしっかり見て下さい。その上で、このコインにはその価値あり、と判断されれば、思い存分お金をつぎ込んで欲しいものです。

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コメント: 4
  • #1

    フジ (月曜日, 06 1月 2025 10:40)

    私が所有しているものは、MS64以下がほとんどです。
    キズ・輝き・トーン・作りなど質感と状態を総合的に見て判断しています。
    スラブの良さは、ケースで保護されている・一応鑑定済みである・数字は一応キズの判断材料にはなる、と考えています。
    現在は数字至上主義的な感じがありますが、いつかそれも崩壊するのでは?と思っています。
    本年も宜しくお願いいたします。

  • #2

    明日香津五(店主) (月曜日, 06 1月 2025 11:32)

    フジ様
    コメントありがとうございました。素晴らしいコインにはほぼ高い数字が付いておりますが、高い数字が付いていても全然駄目なコインも少なからずあります。PLが付くと異常な高値になりますが、どこがPL?というコインもちょくちょく見かけます。自分の目で見て判断することが肝要だと思います。今年も宜しくお願い申し上げます。

  • #3

    岡山県 マル優 (月曜日, 06 1月 2025 20:36)

    今晩は そして明けましておめでとうございます。良い処に、着眼されました。私も同感です。
    最近特にハイランクのコインに、違和感を覚えます。確か日本の状態表示は曖昧なところがあり
    数字で表わすスラブには、信頼又説得力がありますが、購入する人が、どうしても(アバタモエクボ)
    にならないように、細心の注意を払うことが大切と、考えます。最後に駄句を一句
    たらい舟小判重くて沈みそう

  • #4

    明日香津五(店主) (月曜日, 06 1月 2025 23:07)

    岡山県マル優様
    コメントありがとうございました。本年もこのサイトを宜しくお願い申し上げます。