近代銀貨の魅力

 私は現在古金銀を専門に扱っていますが、昔は近代銭の銀貨も集めていました。近代銀貨と言えば"竜図"が最大の魅力であることに異議はないのですが、私が一番好きだったのは額面の左右にある"平地"でした。この"平地"こそが近代銀貨の命だと思っています。この何もない"平地"に何とも言えない魅力があり、ここに傷や擦れがなく、張りのあるコインはなかなかありません。

 旭日50銭銀貨は私のお気に入りのコインの1つです。ちょっと安物で、格下のコインに見られがち(まあ、その通りなん)ですが、大きさも手頃で比較的安く入手できるコインです。50銭銀貨と言えば、デザイン的には明治3年、4年の旭日竜が人気ですが、私はあまり好きではありません。確かにデザインは素晴らしいのですが、何といっても"平地"がありません。ちょっと変わっていると言われるかもしれませんが、私にとっては、この"平地"こそが大切なのです。"平地"に当たり傷があっても許せるのですが、この"平地"に張りのない、疲れた感じのコインは死んでいるんですね、私には。近代銀貨の状態の良し悪しは、この"平地"の状態次第だ、と言っても過言ではないと思います。竜銀貨はたいてい竜図はあまり痛まないのですが、この"平地"はすぐに擦れたり、疲れた感じになります。円銀の"平地"は大きくて魅力的ですが、状態の良いものはあまりに高価で手が届きません。"平地"があまりに狭いと魅力は半減するので、竜50銭、旭50銭はこの"平地"を鑑賞するにはサイズ的にピッタリのコインなんです。

 それでは私が今までに入手した一番美しい旭日50銭銀貨を御紹介致します。もちろん造幣局ロール出しの1枚で、ほぼ完璧な状態です。"平地"の張りも見事です。それでも私は"平地"左の僅かな擦れが嫌になり、手放してしまいました。今から思えば贅沢な話で、それ以降これだけの状態の旭日50銭銀貨に出会っていません。

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コメント: 1
  • #1

    マッピ (金曜日, 25 10月 2024 15:31)

    "平地"の魅力‥ そうか、なるほど
    というのも私も旭日竜は好みではないので持っていません。
    デザイン的に見ても平地のスペースに魅力があるんですね。
    納得、とてもスッキリしました。