天保一分銀 表Z型  (その7)

 天保一分銀でブログを書いてきましたが、最後は表Z型です。御存知のように、表Z型とは20個のいずれの桜にも逆桜がない型で、天保一分銀の最初の書体だと考えられます。表Z型の裏に打たれた"定"刻印は小型の初期のものが多く、額縁で比較的丁寧に切られた一分銀や額縁逆背(献上一分銀)も表Z型が多いからです。

 表Z型の"分"は、"入分様"・"人分"・第一画と第二画がきれいに一点で交わっている"分"の3種類があります。"銀"は、第九画が繋がっている"普通の銀"と横棒と縦棒が切れている"角下がり銀"があります。"入分様"と"角下がり銀"は丁寧に製作された額縁の一分銀に多く見られるので、比較的初期の書体だと思います。

 表Z型の裏は、z、n、o、p、q、r、s、t の8種類です。その中で、圧倒的に存在数が多いのはZqです。未使用品も圧倒的にZqが多いです。その次はZoとZtで、ここまではほぼ同ランクです。その次がZn、その次がZpです。多くの手引書はここまでを同ランクにしていますが、ZnとZpは1ランク上だと思います。Zqを2000円とすると、ZoとZtが2100円、Znが2400円、Zpが2500円、というところでしょうか。

 次に少ないのはZsで、ここからは一挙にランクが上がり、20000円~25000円くらいでしょうか。Zsは希少な割には価格は低めですが、なかなかの難獲品です。次は有名な名品、面背正桜のZzで、45000円~50000円。逆桜が無いことや書体から考えても、天保一分銀で一番初期のものだと考えられます。最初期のものだけに状態の良いものが少なく、未使用のZzを私は見たことがありません。Zzは別座のものも多いですが、本座とは一目見れば区別がつくものです。でも、貨幣商協同組合加盟店が別座のZzを80000円の値をつけて販売しているのを見たことがあります。『天保一分銀 Zz 80000円』という表記で、本座・別座の区別はされていませんでした。別座だとせいぜい10000円くらいですから、この値段だと初心者が"本座"だと思うのも無理はありません。正直、ちょっと残念な話です。

 残っているのはZrです。私は表Z型で一番少ないものはZrだと思っています。価格はZzと同じくらいですが、Zzを入手するよりはかなり困難だと思います。